Vol.5 ハウスセレクション
「ワインは高い」という固定観念をお持ちの方は多いと思います。
コースメニュー1万円のディナーだったのに会計は2人で4万円、二次会で寄ったワインバーの会計は一次会より高かった、ソムリエに勧められて、、、と苦い思い出をお持ちの方は少なくないでしょう。
すべてソムリエの責任ですから、他人事のようには言ってはいられないのですけども。
ワインリストを渡すと「お任せします」とご覧にならない方が多いです。ぜひ価格表として見ていただくようお勧めします。
そして銘柄がよく分からなくても予算に合った価格を指して「これくらいの白(または赤)で、お勧めしてください」とソムリエに頼むとよいです。
とはいえ、結局価格の高いほうに誘導され、断りきれずに、、というケースもあるかと思います。
そんなワイン選びの敷居を取り払ったのが「HUGE ハウスセレクション」です。
価格を均一にしたリストをRigoletto第一号店のCafe Rigoletto(吉祥寺)から始めています。
ワインによって価格が変わらないという安心感で気軽に選ぶことができるのです。
それも¥2,500(現在¥2,750)。容量で換算するとビールより安い。こうして、Rigolettoはワインを楽しむ店として認知を得てゆきました。
それから、均一価格ワインリストは多くの(他社の)店で採用されました。特許ではありませんから、そのアイディアは模倣できます。
しかし、内容はとうてい追いつけないものと自負しています(私の功績ではありませんが、、)。
現在、29店舗でハウスセレクションを用意しています。Rigolettoを中心に大変ヒットしています。結果、HUGEのためだけに輸入していただけるようになっています。また大変ありがたいことに、取引先より、特別なご提案をいただけることもあります。なかには最終的なブレンドの段階で試飲サンプルを送ってもらい、要望を聞いていただけるというものもあります。
通常の価格設定ではまずお出しすることのできない品質のものをラインナップできるのがHUGEハウスセレクションの強みなのです。これに関しては追従を許さないものになっていると思います。
カリフォルニアのシャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、
イタリアのピノ・グリージョ、トスカーナ・サンジョベーゼにシチリア・ネロ・ダヴォラ、
スペインのアルバリーニョ、テンプラニーリョ、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランと、ワールドワイドにヴァラエティに飛んだ30種超のセレクション(店舗により違います)。
日本のワイン消費は40〜60代が中心です。ハウスセレクションは20〜30代の新しい消費層の人たちに確かな品質のワインを楽しんでいただいているという点も誇らしいことと思っています。
次回は、ハウスセレクションの見どころについて具体的に銘柄を挙げて、お話ししたいと思います。
HUGE コーポレートソムリエ
HUGE全店のワインリスト、グラスワインの選定、サービス指導、スタッフ育成を担当。
1969年生まれ。ホテルニューオータニおよびレストラン・ラ・トゥール・ダルジャンにてソムリエ(1990〜2004)、ベージュ・アラン・デュカス東京 支配人を務める(2004〜2010)。
2013年よりフリーに、教育、コンサルティング、執筆活動などソムリエ職の地位と質の向上に努める。2016年東麻布にレストランL’aube開業。
2017年1月 HUGEコーポレートソムリエ就任
第1回(1996年)、第2回(1998)、第7回(2014)最優秀ソムリエコンクール優勝,
2000年世界最優秀ソムリエコンクール3位。
2015年アジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクール優勝。
2014年内閣府黄綬褒章受章。
著書
『ソムリエが出逢った16の極上ペアリング』東京堂出版(2019年)
『ワインの新スタンダード』世界文化社(2019年)
『10種のぶどうでわかるワイン』日経出版(2013年)