コーポレートソムリエ 石田博です。

みなさん、こんにちは。HUGEコーポレートソムリエの石田です。これから毎月、HUGEのワインについて、アップします。どうぞよろしくお願いします。 さて、初回は自己紹介かねて、フランス料理(どちらかというと高級な)どっぷりの私がHUGEに参画した経緯をお話しさせてください。

19995月、私は全日本最優秀ソムリエコンクールの副賞でナパヴァレーツアーに招待を受け、サンフランシスコ空港に到着しました。集合場所に行くと、ワインインスティテュート・オブ・カリフォルニアから招待された日本の方々がいらっしゃいました。知らない顔ばかり。ソムリエっぽい人もいません。年齢的にも下の私は、「なんかいやな感じだな」と不安を抱いていました。ふと、振り返ると満面の笑みの方が「よろしく!」と握手を求めてきました。そして迎えのバスは到着が遅れるとのアナウンス。ため息の一行。「石田さん、ビール飲みに行きません?」と空港のカフェに誘われました。「石田さん、アンカースチームはサンフランシスコのビールなんですよ、これのみましょう」。

1999年 ナパ・ヴァレーでの運命の出会い

私はすっかりその方と打ち解け、ツアーはこの方と一緒いればいいんだなと、安堵しました。ツアーのプログラムは見事なもので、今思えばありえないようなビッグネームたちが代わる代わる登場し、プレゼンをしてくれました。しかしワイナリー訪問はありません。その方はガイド兼通訳の方(この方もとんでもない人でした)に、「ヤスコさん、ワイナリー行きたい!」と午後のフリータイムのために宿に戻るバスのなかで言いました。もちろん、私も同行しました。ヤスコさん(あのキャドビーヤスコさんです)は錚々たるワイナリーの訪問をや

ナパヴァレーの名店「Bouchon」

すやすとアレンジしてくれました。訪問を終えると「石田さん、Bouchonていう、すごいいい店があってね、そこでオイスター食べません?」、なんとも魅力的なお誘いですが、時間は夕刻、あと数時間でディナーです。我々はワイン二本開け、積み上げられたオイスターと格闘するかのように堪能しました。私の不安はどこへやら。最高に楽しい一週間となりました。

「タブローズ」、フレンチしか知らない私は「どんな店だろう?」と帰国後すぐにディナーに行きました。あの衝撃は今も忘れられません。日本、いや世界最高峰のレストラン(トゥール・ダルジャン  東京、赤坂)に勤めているという自負が恥ずかしくもなりました。とにかくカッコいい。店も、お客様も、サービスも。「こんな世界があるんだ」と打ちのめされました。そのど真ん中にその方はいました。新川義弘さんです。私は当時一世を風靡したグローバルダイニングのことも、その発展の立役者である新川さんのことも知らなかったのです。

それから、定期的に互いに連絡を取り、会うようになりました。「今日、役員に2年以内に独立するって言っちゃったよ」と茶目っ気たっぷりの笑顔で話してくれたことがありました。そして、その言葉通り、ご自身の会社、HUGEを創業されました。新店舗オープンの度に、呼んでいただき、「いつか一緒にやろうね」と言っていただきました。私はすっかりその気で、HUGEでなにができるかばかり考えるようになっていました。

当時、ベージュ東京でダイニングマネージャーを務めていましたが、3年が経ち、「ちょうどよい頃だ、新川さんと!」と思った矢先に上司が辞めると聞きました。その話をすると、「石田さん、今は残るほうがいいよ。生きてりゃ、必ず一緒になにかできるよ」と残留を勧めてくれました。それから、会う頻度は減りました。

HUGEは発展の一途をたどっていました。私はフリーとなって活動したのですが、収入にはなるけれど、手応えのないコンサルティングには限界を感じていました。多くの場合、トップは最初は「ぜひ!」という姿勢ですが、実際には、ワインにもサービスにもそれほど情熱のない中間管理職の人間と対峙しなければならなかったからです。

2016年年末、新川さんが私がソムリエを務めるレストラン、L’aube(東麻布)に来てくれました。そして、「一緒にやってくれませんか?」と。なにも考えることなく、「待っていましたよ」と返していました。就任のニュースに業界関係者は「なぜ石田がHUGEに??」と驚いたと聞きましたが、私にとっては待ちに待ったことだったのです。

私は今、HUGE(現場でサービスにこそ立ちませんが)ソムリエをしていることに本当に幸福を感じています。高級ワインを選ぶことは簡単なことで

ソムリエでなくてもできます。私自身も日々発見のようなワインを試飲し、採用する、そしてそれがとんでもないセールスを叩き出す。自分の子供とそれほど歳のかわらない若いスタッフが質問してきてくれたり、様々な提案をしてくれる。

2017年から3年間ですでに10ものワインリストを創りました。それも6つの異なるコンセプト(業態)です。こんなソムリエ、なかなかいないと思います。そしてそのワインリストは毎回、新川さんのアイディアとディレクションによる、新鮮なものです。私の野望は「ワインはHUGEに敵わない」と競合他社に戦意喪失させることです。

そして、世界中のプロフェッショナルに言わせたいんです。「Tokyoのワインシーンを知りたいなら、HUGEに行け」と。

リゴレットのワインリスト「The World」

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