Vol.3 旅

ワインを学び、識り、理解を深めるために、最も効果的な方法は産地を旅することです。

生産者の話しを直接聞き、試飲するだけでなく、ブドウ畑を含む産地の風景や空気、風を感じ、風土や文化、地元の人たちの気性や価値観などを垣間見ることで、俯瞰的かつ本質的な理解へと近づくことができます。

そこから、どんな料理と合わせ、どんな方に、どのようにサービスしたらよいのか実践に繋げる。

ストーリーのあるサービスとはそういうことだと考えています。

生産者を訪ね、交流がもてることは、それだけでも素晴らしいことですが、仕事にも繋がってゆきます。

前回の「日本ワインをハウスに」でお話ししましたが、興味を示してくださり、サンプルを送ってくださった、まるきワインにすぐさま訪問したことで、私たちの本気が伝わったと信じています。

まるきワインはあるエアラインのビジネスクラスでも採用されています。そんな需要が高まっているなか、商品を大量に確保するなんて、たいていの営業マンは断固反対するでしょう。しかも赤ワインには塩尻のメルローまで使ってくださっているのです。バイザグラス 550円のワインに。

このようなことは、もちろんソムリエに限りません。料理人も、サービスマンも、経営者も、飲食業に関わるすべての人にとっても同じだと思います。

HUGEは旅する集団です。

トップが旅好きということもありますが、スパニッシュを開くなればスペインへ、メキシカンを開くならメキシコへ、アジアンならタイ・ベトナム・香港へ。新店舗の料理長、店長、統括リーダーを新川さんが引き連れてゆきます。理由は「本物を体現する」ためです。

新店舗オープンの時だけではありません。毎年、店長、料理長を人選し、新川アレンジの世界の旅もあります。私も連れていっていただきました。

ニース・マルセイユ、サンセバスチャン、ロンドンの旅です。バンドールのワイナリーを訪ね、マルセイユでは本物のブイヤベース(メニューにVrais(本物)と記載されてます)を夢中になって食べ、定番のカシス(白ワイン)を飲み、三つ星レストラン「プティ・ニース」ではスペシャリティの「イソギンチャク」料理に痺れて何も話さなくなった店長(参加者の)もいました。

イソギンチャクの料理。

サンセバスチャンでも、ロンドンでも、その土地を全身で吸収する、そんな旅をするのです。

サンセバスチャン。人に溢れかえるハム専門店にて。

毎年、全店舗の店長、料理長、幹部が参加する「店長旅行」というのもあります。

家族ぐるみで参加の店長旅行。

HUGEでやってゆくには、パスポートと好奇心が必要なのです。

旅することが、自己の成長や経験となり、仕事に大いに役立つのですから、飲食業の醍醐味と幸運は、これにに尽きるのではないかとすら思えます。人生を変えるような出会いもあります。私が新川さんと出会ったのはカリフォルニアへの旅でした。

2017年に全面リニューアルしたRigoletto全店のワインリストを、この10月、またリニューアルさせます。大変ユニークなワインリストになります。

そのカテゴリーの一つは、

Wine Voyage

次回、ご紹介します。ぜひお楽しみに。

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